2024年6月28日

「鉄構技術7月号」に『同志社女子大学京田辺キャンパス 恵愛館』の構造計画が掲載されました

「鉄構技術 2024年7月号」に弊社が設計した、『同志社女子大学京田辺キャンパス 恵愛館』が掲載されました。

同志社女子大学京田辺キャンパスは、梅やモモ、桜やサルスベリなど、四季折々の美しい植栽で彩られます。本事業ではこれらの自然豊かな中庭に溶け込む、食堂兼厨房の恵愛館を設計しました。

構造計画では、RC造・鉄骨造・木造の効率的な配置により躯体の存在感を無くすことで、屋根が浮いているような空間を作り出し、中庭との一体感を高めています。

内観写真

以下、掲載文章を一部抜粋
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構造計画では、中庭との空間的な連続性を持たせることを考え、構造躯体の存在感を極力消すために鉄骨造の採用を考えた。
水平力に対しては、東西に張り出したトイレを囲う壁を利用できないかと考え、煉瓦タイルとの相性もよく、剛性と耐力も高いRC壁を耐震要素として利用することにした。
計画当初は、鉄骨梁に天井デザインとして木ルーバーを取り付ける計画だったが、木ルーバーを構造躯体として利用し、木架構そのものをデザイン要素として取り込めないかと考えた。

屋根架構を木造とすることによって、鉄骨架構+木ルーバーとした場合よりも屋根重量が軽量化され、鉄骨架構をサッシと同等のサイズ(柱は90角の無垢材を採用)まで絞ることが可能となった。下部の鉄骨架構の存在が無くなることにより、浮遊感のある木の屋根架構の実現性が高まり、中庭との一体性をより高める計画にした。こうして、屋根架構が木造、柱梁が鉄骨造、地震力を受け持つ耐震要素がRC造という混構造の構造計画が生まれた。
 (以下省略)
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現場では、ゼネコン、木架構メーカー、鉄骨ファブが一体となり施工手順を逆追いする形で、①どこで施工誤差=ズレを吸収できるか、②どの部分の施工精度がクリティカルになるか検討を進めました。また、職人の方とは建て方精度を上げるため、最初のアンカーボルトの位置出しやセットの精度をあげるための議論を重ねていきました。

本建物はこうした現場の人たちの熱意と工夫と追求があり完成することができました。
この場を借りて、本プロジェクトに参画された関係者各位に厚くお礼を申し上げます。

◆ 発行元
鋼構造出版「鉄構技術 2024年7月号」
◆ 発行日
2024年6月28日
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