2022年10月01日

自立・社会参加に向けた充実、つながりを大切にした「東京都立矢口特別支援学校」が完成

東京都大田区に、東京都立矢口特別支援学校が完成しました。

長年に渡り地域連携、地域交流を大切にして、地元企業の協力も得ながら社会生活における自立支援を実践してきた歴史を持つ学校です。設計を進めるにあたり、登校前から下校後まで数日間、子どもたちや先生方の日々の動きに密着し、生々しい実態を念頭に置いて先生方とも議論を重ねて設計を進めました。

その中で、子どもたちの社会参加を後押しするためには、安全・安心な環境の中で見守られ、伸び伸びと活動できる学校づくりがポイントになると考えました。中庭を普通教室がロの字型に囲い込む平面計画とし、担任の先生だけでなく別のクラスの先生方も相互に教室内の状況が把握でき、先生同士も全員で見守れる、「見守り空間」を核としています。

ロの字型配置は建物外周部に回遊廊下が回り、道路や隣接マンションなど外部環境とのバッファー空間を作り、落ち着いた生活環境を生み出しています。同時に中庭・廊下の双方から、自然採光を積極的に取り入れ、卓越風が通り抜けるなど、建物全体に柔らかな空気の流れを作り出しました。屋上には太陽光発電設備45kwを設置、雨水再利用Low-eガラスの採用などにより、東京都建築物環境配慮指針の段階3を確保しています。

完成した校舎で地域や先生方に見守られ、子どもたちが伸び伸びと自立、社会参加に向かっていくことを願っています。

【施設概要】

(1)施設名 :都立矢口特別支援学校
(2)所在地 :東京都大田区矢口1丁目26番10号
(3)構造  :鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造4階建て
(4)延床面積:12,112.55㎡
(5)開設日 :令和4年9月1日

【施設の様子】

(1)ファサード
素材や色の異なるコーナーにより、様々な個性をもった表情を演出している。

(2)「あいさつ」が生まれる1階ホール
1階ホールは昇降口に隣接する空間。先生と児童が活発にあいさつを行う活気ある空間になっている。

(3)中庭を囲む「見守り空間」
中庭を普通教室がロの字型に囲い込む平面計画とし、先生同士が連携し全員で見守れる空間に。

(4)明るく、地域に開かれた「回遊廊下」
外周部に回遊廊下を計画。明るく、開放的な空間に、ベンチや展示などが設けられている。

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