東京設計室長の寄稿文「全ての物事を本源から問い直す時代」が建設経済新聞に掲載されました
建設経済新聞(2020年7月1日2面)の「コロナ禍で迫られる転換」特集に、東京設計室長の岩井による寄稿文が掲載されました。
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【全ての物事を本源から問い直す時代】
新型コロナウィルスをめぐる諸問題は、人々の意識潮流、産業と経済、世界の覇権構造の次元において、大きな転換を迫っています。ここ数か月は、これまでの常識に対して、改めて何が不要で何が必要かを考える機会でもありました。そもそも、学びとは何か(学校は必要か)、働くとは何か(通勤は必要か)、本当に必要な活動は何か、どう生きるか。全ての物事を、本源から問い直す時代です。
これからの時代をどう読むか。類グループでは全社員参加で社会潮流から経営・組織課題を追求する劇場会議を統合軸としてきましたが、さらに広く社会に開かれた「実現塾」(小・中・高・大学生から社会人まで参加)において、最先端の事実追求に挑戦しています。
これからの企業経営・組織論において大事なことは、何があっても生き抜く力であり、自ら仕事・集団・人材を創り上げる自主管理能力です。何が起こるか分からない、正解のない時代ですから、決められたことに順応する思考では全く対応できません。
自粛要請期間中は、様々なWeb・ICTツールによって、物理的距離を超えてすぐにダイレクトに繋がる、スピードアップの有用性を実感するとともに、当社が推奨する職住一体(徒歩圏内の社宅借上制度、仕事と家庭を分断しない趣旨)が、危機対応と働きやすさの両面で有効であることも実証されました。
ただし、何があっても生き抜く力とは、職能的な力量や狭義の働き方改革に限定されるものではなく、周りの人を充足させる力、周りを導く追求力など、総体的な人間力の位相です。こうした力の獲得が企業経営の最重要テーマであり、当社でも自主管理単位の強化、組織活動と人材育成、レビューや追求の場づくりの高度化など、試行錯誤と組織変革を続けています。
建築設計に携わる者にとって、コロナ禍が突きつけるもうひとつの大きな追求課題は、グローバル市場経済の帰結である環境破壊、人工物質による肉体・精神への影響をどう乗り越えるのかということでしょう。自然の摂理に則った循環型のデザイン、人々の活力を再生するデザインのありようです。未知なる世界に向けて、建築という営為、存在意義を本源から追求する必要に迫られているのです。
株式会社 類設計室/取締役 東京設計室長 岩井裕介
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