省エネと災害時のエネルギー自給強化を目指した「レジリエンス強化型のZEB実証事業」への取り組み
日本をはじめとした世界的な脱炭素化(省エネ)の動きと共に、近年激化する気候変動などの災害対策として、エネルギー自給が可能な建物の普及が社会的に求められています。
奈良商工会議所様と類設計室が建物のZEB化と災害時のレジリエンス機能を強化した建物を計画し、環境省が推進する「レジリエンス強化型のZEB実証事業」(令和4年度補正予算)に採択されました。(奈良県 2024年3月竣工予定)
ZEB(Net Zero Energy Building)は、快適な室内環境を実現しながらも消費エネルギーの削減と再生可能エネルギーの創出によってエネルギー収支をゼロにする建物です。今回計画では、窓面の日射遮蔽や外皮の断熱強化によるパッシブ技術と高効率設備の導入によるアクティブ技術を採用し、実効性のある環境技術の導入に向けて熱解析シミュレーションなどの検討を重ね、消費エネルギー50%以上を削減するZEB Readyを達成しました。

計画地が駅前のため、「災害時における帰宅困難者の受入れや地域企業への仕事場提供により地域貢献をしていきたい」という奈良商工会議所様の想いから、災害時の避難拠点として会議室の開放を予定しています。現在奈良市とも防災協定の締結に向けた協議を継続中です。
さらに建物のレジリエンス強化として、構造は耐震性能Ⅱ類(避難所同等)とし、エネルギー自給として再生可能な太陽光発電と蓄電池設備の設置、また脱炭素化を目指したEV充電システムを計画しています。
今後は建物竣工に向けた現場の設計監理とともに、地域の先導役として省エネと環境配慮を目指す奈良商工会議所様の生涯の戦略パートナーとなり、運用段階もBEMS(Building Energy Management System)にてエネルギー消費量を分析し、さらなる最適なエネルギー運用を提案していく予定です。