- 03 Mayuka Toyoshima
- 豊島 麻由佳
- 2017年入社 / 設計事業部 構造設計
- 幼い頃から、ドールハウスやジオラマ、賃貸マンションの平面図を見て、生活を想像するのが好きだった。建築だけでなく、社会の動きや歴史構造など幅広いテーマを一体となって追求する類設計室の社員や、会社の雰囲気に惹かれたことが入社の決め手。庁舎や図書館など様々な用途の構造設計に携わる。

建築に託された未来。様々な想い。
ただ建てるだけでなく、建てた後の未来まで構想する。そんな類設計室の設計のあり方を深く感じることができたのは、大阪府のとある図書館の建築計画に携わった時でした。建築のコンセプトは“街に開かれた図書館”。本を蔵書する役割だけではなく、子育てを支援する拠点として、さらには国際交流の場やコミュニティスペースとしての機能も盛り込んだ複合施設をつくりたい。「若者が次第に減っている中で、このまま街は衰退していくかもしれない」。そんな危機感が、自治体の職員や住民の方々にもあったようです。様々な想いが、この建築計画に託されていました。しかし、求められる機能の多さに反して、建築を予定された敷地は狭隘で歪な形状をしていました。さらには、街の景観を損なわないようにというご要望もあり、階数を抑える必要もあったのです。複雑な条件を一つひとつクリアしていかなければなりませんでした。

描き直す。答えに辿り着くまで何度でも。
“街に開かれた図書館”というコンセプトを体現するために、建物の正面は窓を多く配置した開放的な造り。どうしても建物前面は柱を減らさなければなりません。どうやって耐震性を担保するか。何度も設計図を描き直しては、他部門と議論を繰り返しました。狭い敷地にめいっぱい魅力的な空間をつくるために考え出したのは、建物の後方にできるだけ耐力壁を配置して、手前の閲覧室を軽やかで開放的につくる方法。解析ソフトで耐震性を確認するだけでなく、模型で揺れを感覚的に捉えながら課題を抽出していきました。詳細図をいくつも作成した上で施工に臨んでも、現場の施工図段階で課題が再発見されることも。その都度、施工会社と膝を突き合わせて、鉄筋と鉄骨の納まりを考え続けました。土を掘った穴の中にその場でコンクリートを流し込んでいく、現場打ちコンクリート杭という工法を採用したのも、私の設計人生で初めてのこと。地下30メートルの恐竜がいた時代の地層まで1メートルずつ掘り進めていくのですが、どこに建物の足となる一番重要な基礎部分を支持させるか。その判断をするのも、私たち構造設計者の重要な役割。現場に張り付く日々が続きました。


構造だけでなく、空間全体に目を向ける。
ようやく完成を迎えた後の達成感は今でも覚えています。引き渡し前の竣工検査の際、ゼネコン側の施工者や類設計室の監理担当と一緒に建物を見て回ったのですが、設計段階で紙面やパースで何度も見ていた空間に、いざ足を踏み入れてみた時の喜びは特別なものがありました。近隣に住んでいる社内のメンバーがプライベートで利用した後に「すごく良い空間だったよ」と声をかけてもらえたのも嬉しかったですね。私たち設計者が携わるのは建物ができるまでの部分。そこから先に、人々がその空間を活用し、そこに活力が生まれていくことこそが、建築の価値。私たち類設計室の設計者全員が共有している考え方です。活力が生まれる空間をつくるために、意匠も構造も設備も分け隔てなく意見を交わし、力を合わせていく。その面白さに、実際に働き始めてから気づきました。学生時代は構造設計の仕事に対して、縁の下の力持ちといったイメージを持っていましたが、類設計室の構造設計者は空間全体に目をむける。構造計算や解析をするだけでなく、どうやったら空間がもっと良くなるか。構造の視点から意匠や設備に提案をすることもあります。一体となって追求していった先に生まれる未来のために、構造設計者として意匠を凝らしていきたいと思っています。
03 Mayuka Toyoshima
私が追求したいこと
本当の安心安全とは何か?に向き合い続ける。
能登半島地震の現地調査を行い、地盤の側方流動、建物の崩壊、火災被害を直接この目で見てきました。被害状況と同時に健全に残った建物も調べたことで、設計者の工夫で建物や人の命が守られていることも良く分かりました。構造設計は人の命にも関わる仕事。だから法律や解析だけでは明らかにしきれない“本当の安心安全とは何か?”に向き合い続ける。そこを大切に、これからも挑戦を続けていきたいと思っています。
※所属、仕事内容は取材当時のものです。