- 06 Nao Saito
- 齊藤 直
- 2001年入社 / 設計事業部 ディレクター
- 大学時代は構造、材料の研究をしながら、アトリエでアルバイトとして働く。友人が選考を受けていたことがきっかけで類設計室を知り、最終的には「人」で入社を決める。文教施設や庁舎、図書館などの公共施設といった、幅広い用途のプロジェクト統括を担当。

対象者はすべて人。
組織設計事務所におけるディレクターとは、物件の最終責任者であり統括者。規模にもよりますが、一つの物件あたり意匠、構造、機械設備、電気設備それぞれ3〜4名ほど参加する15名程度のプロジェクトチームを率いて、品質、予算、スケジュールのすべてを統括していく役割を担っています。チームとして活力を持ってプロジェクトを推進するために私が意識しているのは、相手の心情を読むということ。最大限アンテナを張って、相手の目の色、感情の動きを読み取っていく。その姿勢は、お客様に対しても社内のメンバーに対しても変わりません。私たちがつくっているのは建物ですが、対象としているのはすべて人。目の前のお客様の期待を掴み、その建物を使う人が満足し、その地域の人々に喜んでいただいて、つくり手も誇りのもてる仕事にしたい。いいものをつくりたいというゴールは同じでも、立場が違えば意見が食い違うことも当然あります。だからこそ、たとえちょっとした違和感や疑問であっても、見過ごすことがないように、社内外のチーム、一人ひとりに目を配り心を配っていく。些細なことかもしれませんが、ディレクターの目配り、心配りがチームの活力につながると思うのです。

その建物を使う人のことを第一に考える。
チームメンバーを見ていると気づくことがあります。それは、一気に成長する瞬間があるということ。何度も繰り返し図面を描き直すことで、頭の中で捉えきれなかった部分が可視化され、整合してくる。矩計の精度が上がっていく。その感覚を自ら掴み取って欲しいから、手出しはしません。何度も繰り返し図面を描き直しては「違う」と言われ、もがいた日々が私にもありました。入社3年目、少しずつ仕事のコツを掴んできた頃のこと。京都市内にある中学校で、建具の設計を担当することになったんです。どうすればデザイン的にかっこいいものにできるか、ディテールにこだわって引いた図面に、当時の上司が一言、「この建物はお前のものじゃない。お前がやりたい設計したくてやるんじゃないんだぞ」。デザイン性を高めていくのはプロとして当然のこと。けれども自分らしさの表現ではなく、この先長く建物を使う人のことを第一に考える。機能が破綻していないか。この設計で50年後も大丈夫か。維持管理も含めて無理がないか。仕上げ一つとっても塗り直しが必要にならないか。基本に立ち返って、何度も繰り返し図面を描き直した日々があったからこそ、今の自分があると思っています。


失敗を踏み固めて基礎ができる。
当時の上司は決して、私に答えをくれませんでした。その代わり私が自分で答えにたどり着くまで辛抱強く待っていてくれました。もしかしたら上司も、私が自分の手で何か掴んで伸びる瞬間を、楽しみにしていてくれたのかもしれません。あれから20年以上が経ちますが、その中学校はすっかり地域に溶け込み、いきいきとした活力に満ちています。いま振り返っても、いいものができたと誇りに思っています。皆さんに伝えたいのは、圧力の高いところに身を置く大切さです。成長したいなら、あえてプレッシャーのかかるプロジェクトに飛び込んで欲しい。自分で考え、自分で答えを出すしかない状況で、最後までやり切る経験をたくさん積んで欲しい。その過程での失敗は、むしろ大歓迎。失敗を踏み固めて進んでいけば確実な基礎ができる。私自身が失敗ばかりしていた若手の頃、先輩からいただいて、今でも大切にしている言葉です。ディレクターとして、一人ひとりが伸びる瞬間、チームが強くなるプロセス、それらすべてに関わっていくことが私の喜びであり、やりがい。建物をつくるという行為を通して、メンバーの成長機会やチームの活力を、これからもつくり続けていきたいと考えています。
06 Nao Saito
私が追求したいこと
未知課題を前向きに捉え、追求していきたい。
地震や津波、気候変動などの自然災害の増加や多くの環境問題に対してどうすべきか。私たちを取り巻く未知課題に対して、設計事業部だけでなく5事業部全体として取り組んでいきたい。少子高齢化が加速していくこれからの日本。人口減少を見据え、生活も含めたダウンサイジングや、自然エネルギーの最大利用も追求したいテーマのひとつ。後ろ向きではなく、前向きに捉えることで、追求そのものが楽しくなっていくと思う。
※所属、仕事内容は取材当時のものです。