Asako Ideta
出田 麻子
2017年入社 / 計画設計部
子どもの頃から絵を描くことやものづくりが好きで、建築設計の道へ。大学では意匠系を専攻し、卒業後、類設計室に入社。構想・企画フェーズから基本計画を担う計画設計に所属しながら、意匠や監理段階のカラースキームも経験。教育施設の案件を多く手がけ、「お客様と共に考え、つくる設計」を実践してきた。現在は、小中一貫校の計画設計に携わり、「日本一の新しい学び」の実現に向けて奮闘している。

設計者であり、会社づくりの担い手でもある。
小さい頃から、絵を描いたりものをつくったりするのが好きでした。将来も、そんな「つくる」ことに関わる仕事がしたい。そう思って進路を探していた高校生のときに、建築設計という分野を知ったんです。もともとは美術の道に進もうと思っていましたが、数学や物理も好きだった私にとって、空間をデザインするという行為のなかに、美術と工学の要素が融合していることに気づき、そのちょうど中間のような魅力にどんどん惹かれていきました。類設計室との出会いは、大学に来てくれたOBの先輩の話がきっかけでした。「どんな会社にも課題はある。でも、その課題を自分たちで変えられるのは類だけだ」。そう言い切る姿を見て、驚くと同時に強く惹かれたことを覚えています。実際に入社してみて、その言葉が誇張ではなかったことをすぐに実感しました。例えば、1年目から備品管理や庶務活動について「こうした方が良くなるのでは」と意見を出すと、先輩たちはしっかりと耳を傾けてくれる。それだけでなく、経営会議にも1年目から参加でき、受注額や組織方針など、会社の重要な情報がすべてオープンにされている。設計者であると同時に、会社づくりの担い手としても主体的に関われるのは、本当に稀有な環境だと思います。

本音で語り合えば、建築はもっとよくなる。
入社したばかりの頃、私は「良い提案をつくり込み、それをお客様に評価してもらうこと」が設計者の仕事だと思っていました。プロとして明確な答えを出すこと。それが信頼を得る道だと信じて、一方的な提案をすることも少なくありませんでした。でも今は、建築とは一緒に答えを探し、形にしていくものだと考えています。その意識が大きく変わったきっかけが、3年目に担当した図書館のプロジェクトでした。地域に根ざした小さな図書館で、建築の規模もチームの人数もコンパクト。そのぶん、最初から関係者全員がフラットに意見を交わせる空気が自然と生まれていました。お客様と一緒に、まさにワイワイ議論を重ねながら空間をつくっていくプロセスが、本当に楽しかったんです。そしてその背景には、先輩やディレクターの対話姿勢がありました。意見が食い違っても、設計者としての思いを率直に伝え、同時に相手の言葉にも丁寧に耳を傾ける。そんな腹を割って話す姿勢が、信頼を築いていくのだと、肌で実感しました。それまでの私は、上手くまとめようとするあまり、無理に落としどころを見つけようとしていたのかもしれません。でもこの図書館の経験を通じて、悩みも迷いも、率直に共有することが建築をよくするのだと気づきました。本音で語り合いながら、一緒に建築をつくっていく。そんなプロセスこそが、いちばん楽しく、いちばん納得のいくものになると、今は信じています。


関係性をデザインすることが、建築の本質かもしれない。
現在は小中一貫の学校施設の設計に携わっています。プロポーザル段階から関わり、教育委員会の方々や現場の先生方とも何度も対話を重ねてきました。「日本一の新しい学びをつくりたい」という、強い想いを持った方々で、私たちも自然とその熱量に引き込まれていきました。提案の中では、当初の4階建て計画を3階建てに変更し、クラスルームの中央に大階段と一体化した共用空間を設ける構想を打ち出しました。縦動線を極力抑えて、学年を超えた交流を促す構成です。単にプランを描くだけではなく、「どんな教育をしたいか」「どう育てたいか」というありたい姿から考えた結果の提案でした。また、このプロジェクトでは地域の方々や教職員、子どもたちと共にワークショップも実施しています。お客様だけでなく、地域も巻き込んで学びの場をつくっていく。こうした設計の進め方は、まさに類設計室だからこそ実現できるものだと感じています。かつての私は、一方的に「良いと思うもの」を提示することが設計だと考えていました。でも今は、「どういう関係性の中で建築が生まれるか」にこそ興味があります。そしてその関係性をデザインすることこそが、私の仕事であり、いちばんのやりがいなのだと思っています。
Asako Ideta
私が追求したいこと
「日本一の新しい学び」を実現できる建築とは?
「日本一の新しい学び」を実現できる建築とは何か。正解のない問いに、設計という立場から挑み続けたいと考えています。学校や図書館といった学びの場では、使う人の声を丁寧にすくい、対話を重ねながら、本質的な価値を問い直していくことが欠かせません。建築を通じて、教育のあり方や地域の未来を切り拓いていく。そんな設計者でありたいと思っています。
※所属、仕事内容は取材当時のものです。