酉島製作所は、2019年に創業100年を迎えた国内屈指のグローバルポンプメーカーです。
次なる100年に向けた新本社と工場の建設プロジェクトとして、「本社と工場」「経営者と社員」「各部門同士」がボーダーレスに連携し合える【一体感】をコンセプトとしています。
4~6階のオフィスエリアは、3層に分かれるフロアをどのように一体化するかが課題となりました。そこで、中央部には3層のフロアを貫く吹抜け空間を設けるとともに、東西のフロアを半階ずつズラして配置することで、上下階の行き来のしやすさや視認性を向上させ、社員同士の交流を促進する計画としています。また、東西のスキップフロアの中間には、Quarterエリアをらせん状に配置し、それらをスロープや階段で接続することで、オフィス全体が吹抜けを介してひと繋がりとなった【ワンルーム・スキップフロア】を提案しました。
建物の設計と並行して結成されたのが「働き方改革推進チーム」です。このチームは、各部門の統括メンバーだけでなく、未来を担う若手社員も含めて構成され、オフィスコンサルとして参画したコクヨ様と三位一体で「トリシマの新しい働き方」を追求しました。
十数回のワークショップを経て、水のように自在な働き方を、という想いを込めた【リキッドワーク】をコンセプトに決定。旧オフィスでのトライアルやアンケートも取りながら、部門・時期によって異なる多様な働き方に対して、自在に対応できるオフィスレイアウトを検討しました。
「一体感」の実現と同時に追求した課題が「環境性能の向上」です。熱負荷を低減する建築計画、空間ごとに最適化を図る設備計画、吹き抜けを活かした自然エネルギーの活用などの工夫を重ねた結果、BEI 値=0.59をマークし、ZEB Oriented認証(オフィス部分のみ対象)を取得しました。
建築計画は、負荷変動の大きい東西面を窓の無い壁面として熱負荷を低減し、南面には庇を設けることで外皮負荷を抑える計画としています。
建物中央の「ユニボイド」と呼ばれる吹抜け空間は、各フロアを立体的につなぐだけでなく、省エネルギーな環境装置としても活かしました。吹き抜け上部に、自然光を取り入れるハイサイドライトと、自然通風用の排気窓を兼ねたエコチムニーを配置し、積極的に自然エネルギーを利用できるようにしています。空気の取り入れについても、オフィス側で任意に窓を開閉して自然通風を取り入れられる計画とし、社員の多様な働き方に合わせた柔軟な環境づくりを意図しています。
ハイサイドライトについては、夏期は光拡散フィルムを通して全体を照らすように、冬期は反射板を使って最下階である4階まで光が到達するように、BIMによる照度検討を行い、窓や反射板の大きさ・設置角度を決定しました。竣工後に何度も訪れましたが、オフィスの中心である吹き抜け空間に、季節を問わず柔らかな自然光が降り注ぎ、計画通りの快適な空間を実現しています。
スキップフロアは3層吹き抜けとなるため、オフィス最上部に熱溜まりが発生する事が予想されました。シミュレーションを重ねながら、夏は暖気が抜ける流れを作る計画、冬期はサーキュレーションファンにより上昇した暖気を居室エリアへ下ろすことで温度ムラを少なくする計画としています。
竣工後にオフィス全体の温熱環境測定(夏期・冬期ともに)を実施したところ、4階から6階までの平均温度差は0.5℃程度と、高い快適性を実現していることを確認しました。この結果は設計時に行った温熱シミュレーションの内容に合致しており、狙い通りの温熱環境を生み出すことができています。
こばやし・ゆうご
大阪設計室 ディレクター/経営統括部 経営戦略課 課長
2005年東京大学大学院工学系研究科卒業、同年類設計室入社
2005年東京大学大学院工学系研究科卒業、同年類設計室入社
つちや・のりあき
大阪設計室 設備設計部課長
1982年神奈川県生まれ。2005年明治大学理工学部建築学科卒業。2007年 明治大学大学院理工学研究科建築学専攻修了後、類設計室入社。
1982年神奈川県生まれ。2005年明治大学理工学部建築学科卒業。2007年 明治大学大学院理工学研究科建築学専攻修了後、類設計室入社。
事業構想、設計業務、施設運用に関することなどお気軽にお問い合わせください。
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