木造の学び舎追求 ~本源建築への挑戦~

2020.10.5

類設計室は今、次のステージに向かおうとしています。

それが、「近代科学や人工物質を凌駕する」本源建築への挑戦です。

近代につくられた採算性重視で人工物質まみれの建築は、環境や人体を破壊し、精神にまで被害を及ぼしています。

 

この状況を突破するひとつのテーマとして、類設計室では木造の学び舎追求を始めました。

40年にわたって現代木造建築の設計を手掛けてきた杉本洋文先生や、木造防災の第一人者で建築法令の改正に携わっている安井昇先生と協力して、都内2つの自治体の教育施設で具体的な検討を進めています。

 

■木造校舎の良さって何?

木の建築をつくると聞くと、日本人なら誰もが「木っていいよね。」と感じることでしょう。

一方で、「木で建築をつくるって普通じゃない?」とも感じるでしょう。

意外と知られていないのが、木造の“具体的な”良さです。

木造校舎に期待できる効果を見てみましょう。

 

・五感に優しい心地よさ

誰もがわかる良さと言えば、木を触った時の手ざわりや温もりでしょう。また、視覚的にもあたたかみを感じ、木の香りにはリラックス効果もあります。そしてあまり知られていないのが、木の空間では音がまろやかで聞き取りやすくなることです。心身ともに心が落ち着くため、子どもたちの集中力が上がったという声も聞かれます。

 

・室内環境の快適さ

コンクリートに比べて断熱効果が高いため、冬に底冷えしない室内環境がつくれます。温度も均一になるため、省エネ効果も期待できますね。そして、木材が絶えず呼吸をしているため、木の空間にはウイルス感染等を抑える効果もあるんです。室内の湿度を調整することで、喉の粘膜が乾燥せず、ウイルス感染を防いでくれるのです。

 

・学びの意欲を高める力

木造校舎は、校舎そのものが教材になります。木のなりわいを知ることで、生産地などの地域特性を学ぶきっかけになり、木に関わる産業構造の学びにもつながります。生きた教材だからこそ、子どもたちの追求心に火をつけ、学びの意欲を高めてくれるのです。

 

こうしてみると、よく知られている効果もあれば「そんな効果もあるんだ!」と驚く効果もありますね。

 

しかし、「木は燃える」というイメージが根強く、実際に関東大震災や第二次世界大戦では、日本の木造家屋の多くが消失。戦後の建築基準法の整備で一定の規模を超える木造建築はつくれなくなりました。結果、RC造の校舎に建替えられていったのです・・・。

 

日本の国土の70%は森林。世界第2位の森林率を誇りながらも、こうして森林資源を活かし切れず、木産業に携わる人も年々減少しているのが現状です。

 

■木のなりわいを体感

このままでは、木に携わる仕事がなくなり、古来より日本人が培ってきた木造技術も途絶え、木の建築をつくることが出来なくなってしまいます。そのような危機感を追求の過程で募らせながら、生産の現場はどのような状況なのか?共に追求を深めている自治体の方々といっしょに現地(神奈川県小田原市)へ赴き、生産者のみなさんの生の声を聴いてきました。

 

「次世代につなぐのが私たちの使命」

次の時代を担う人がいて、木は活きる。木は伐られたら死ぬんじゃない。形を変えて次の時代に生き続けるし、再生できるエネルギー。木は10年20年では使えるように育たない。先代や先々代が植林してくれたものが、今やっと使えるようになってきている。

 

「関東の木は、関東で使う方がいい」

使うところと産地の木が近いほどいい。30~40年以上育った環境と近いところで使わないと、気候に合わない。だから、木の流通をいかにコンパクトにするか?がこれからは重要。木産業のみんながチームとして一体的に取り組み始めている。

 

「山があっての自分たちだから」

相手は自然だから。木も同じ年数でも太さも成長度合いも違う。川上~川中~川下を経てエンドユーザ―に届くまでには色んな人が携わる。自分ひとりじゃ出来ないから、そうやって人がつくっていく流れも伝えなきゃいけない大事なこと。

こうして実際に顔と名前を知って、仕事を知って、木に携わる背景を知ることは大きな意味がありました。みなさん一様に、「次世代のために」と語ります。活き活きと語る姿、楽しそうに語る姿は、本当にかっこいい!

 

■生きた学び舎づくり・循環型の事業づくりを目指して

学び舎の木造追求は始まったばかりですが、産地の人たちの声を聴いて、近代科学や人工物質を凌駕するだけではなく、日本の国土を守る、子どもたちの健康を守る大きな志につながるプロジェクトになっています。

 

これから継続して追求していきますが、木をただ使うのではなく、木産業・建築産業における循環型の事業づくりを見据えて、自然の摂理に即した生きた学び舎づくりを目指していきます!