
類設計室の設備房では週1回、大阪と東京を繋いで技術追求の場を設けています。
今回は災害時のトイレについて追求したことをお伝えしたいと思いますが
皆さんは地震時にトイレでどんな問題が起きるか、想像できますか?
■多岐にわたる災害時のトイレ問題
災害時のトイレ問題は災害が起きた瞬間から発生することが特徴として挙げられます。
例えば、断水によりトイレが使用できない状況であっても用を足してしまう人が多く、衛生環境の悪化を招くこと。または、トイレが利用できないことから飲食をせず、特に高齢者の体力が失われていくことなど。
そこで、通常時に使用しているトイレが断水した場合には、仮設トイレを設置する対応がよく行われます。では、ここで問題!
Q.災害時に使用されるトイレの種類とそれらに付随する問題点を挙げよ
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A.災害時に使用されるトイレは・・・
マンホールトイレ・簡易トイレ・バイオトイレ・無水トイレ・ペットボトルなどがあります。

また、付随する問題点は・・・
【インフラ】
・水源・電源の確保が難しい
・バキューム車が廻りきれず、排泄物の処理容量が追いつかない
・携帯トイレ、簡易トイレも同様に捨てる場所がない
・紙を流せないので処理した紙をゴミ袋に貯めるが、心理的に気持ちのいいものではない
【利便性】
・マンホールトイレなどの和式タイプは狭く、洋式タイプであっても十分な大きさではない
・処理槽分小上がりになっているため、足腰の悪い老人にとっては利用しにくい
・仮設トイレの数が足りないため、男女の使い分けがされていない
・十分な照明がついておらず、夜間は利用しにくい
【衛生】
・汚い、臭い
・手洗いの代わりに消毒スプレーなどを用意しても、水を流して手を洗いたい欲求がある
【強度】
・仮設トイレなどは強度が弱い
以上のように、本設のトイレが利用できない時に活躍するはずの仮設トイレも問題点を多く抱えており、断水してしまうとトイレに行きたくても行けないというのが現実です。
このような現実に対して類設計室は、「2重3重の水源・電源を確保する計画提案」、「仮設トイレの分散配置による男女ゾーニングが可能な計画提案」、「無理のない災害計画立案」などを行い、いかなる時も人々の役に立つ建築は何かを追求しています。
■プロとしての姿勢
2011年の東日本大震災以降、熊本地震や大阪府北部地震など大きな地震が続いており、災害はもはや当たり前に起きるものとして認識しなければなりません。当然、設計者には上記のような実情を知った上で、本当に使う人に同化した設計を『プロ』として行うことが求められています。
また、どれくらいの費用を掛けてどのような災害に備えるかを施主と共認すること。そして、設備の使用方法をしっかりと伝え、現場(避難所)を指揮する施設管理者や役所担当者を先導していくことも私達の仕事です。
(設備房 坂口 弘晃)