【子育て通信】子供の仕事は遊びである

2019.7.23

「遊んでばかりいないで勉強しなさい」というセリフは、親の口からこれまで何回発せられたことでしょう。そこには、無意識に、しかし明確に、「遊びよりも勉強の方が役に立つ」という価値観が存在していますが、それは本当に正しいのでしょうか。

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■放っておいても、子どもは「遊ぶ」

そもそも、親が「もっと遊びなさい」と言わなくても、放っておいたら子どもは「遊ぶ」ものです。

それこそが、「遊び」が生物として「絶対的に必要」であることを物語っています。

逆に、「勉強しなさい」と言わなければやらない(言われてもやらない)という事実は、何を意味しているでしょうか。

言われなくても勉強した時代とは、何が違うのでしょうか。

■子供の「遊び」は大人の「娯楽」とは違う

「遊び」と聞くと、「勤勉」や「努力」の対極にあるものと感じるかもしれません。「遊び」と似たようなニュアンスの言葉に、「娯楽」があります。どちらも何となく「楽しい」という共通点があるように思えます。

ですが、「遊び」と「娯楽」は真逆の性質を持っています。

端的にいうと、遊びは自発的なもの、娯楽は受動的なもの。

日本大百科全書(ニッポニカ)によると、娯楽entertainmentは、「人間の心を楽しませ慰める活動」であり、遊びplayは、「遊ぶこと自体を目的とする自由な行動であり、行う人間にとっての意味づけを重視する哲学的な概念」であるとされています。娯楽を楽しむということは、テレビであれ、映画であれ、ゲームであれ、誰かが能動的に楽しませようとしているものを享受している、つまり「受動的」に楽しませてもらっているということになるのに対して、遊びは、それ自体が「能動的」な行動です。この違いは非常に大きいと思います。

■なぜ子供に遊びが必要なのか

遊びの効用は、探せば無数に出てきます。その代表的なものを挙げてみましょう。

・体力や身体能力の向上に繋がる

・脳の運動制御機能や知的機能の発達に良い

・感覚が豊かになる

・命のつながりを学べる

・想像力と創造力が身につく

・思いやりの心を育む

・自主性をはぐくむ

・「決定を下し、問題を解決し、自己制御を行い、ルールに従う」ということを最初に学ぶ

・自分が興味関心を持つものを見つけることに役立つ

・アイデンティティを形成できる

・遊びが幸福の源泉となる

これらの力が「勉強」ではなく「遊び」でこそ身につく根拠(論拠)を、ぜひ考えてみてください。

■遊びと追求は同じ充足である

「和算」というのを聞いたことはあるでしょうか。

江戸時代から明治にかけて日本人が独自に研究、発展させた数学ですが、そのレベルは極めて高度で当時、世界最高水準にあったと言われています。たとえば、西欧で微積分学を用いて同じ公式を発見する15年も前に、「円周率π」の解を41桁まで弾き出すことに成功。他にも、現代数学でいえば70次方程式でなければ解けない問題や、37桁という大きな数の26乗根を出せというものまであります。

興味深いのは、この「和算」、上級階級だけでなく庶民も含めてブームとなり、遊びとして一般人が楽しみながら取り組んでいたこと。各地の神社、仏閣に掲げられた「数学絵馬」に当時の様子を垣間見ることができます。

■たくさん遊んだ子の方が賢くなる

「社会性の高い大人ほど、子ども時代にたっぷりと遊んだ」という調査結果があります。 調査によると「自分はコミュニケーション能力がある」「チャレンジ精神がある」と答えた社会人ほど「子どもの頃よく遊んだ」と回答している割合が高いのです。逆に、コミュニケーション能力やチャレンジ精神があまりないと答えた層の多くは、子どもの頃あまり遊ばなかったと回答しています。

ちなみにここでいう「賢い」とは、当たり前ですが、偏差値が高いとか知識が多いとかではなく、仕事が出来るとか物事を全うに考えられるとか人として適切な関係が築けるとかいう意味です。社会で評価されるのは後者のみですからね。

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昔の人はよく分かっていました。遊びの中でこそ、生きていく上で必要なことを身につけることができ、仕事の基礎を学べるということを。

だからこそ、昔は、「子供は遊ぶのが仕事」「子供の仕事は遊び」と言われていたのです。

いつから「子供の仕事は勉強」になってしまったのでしょう。

とはいえ、普通に外で遊ぶことが難しい時代になっていることも事実。

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