これからの時代において求められる技術者の資質とは

2019.4.11

類設計室は「脱・つくりっぱなし」を設計の幹として明確に据え、追求していく。

その背景として、これまでの建築は「スクラップ&ビルド」という言葉が象徴しているように、つくることばかり考え、つくった先のことを追求していないという深い反省があります。

建築は「クライアントや利用者、社会の役に立ってこそですが、それが現在だけでなく未来も含まれる」という当たり前のことが置き去りとなっています。

なぜなら、設計工事期間は3~4年ですが、建築の耐久性は100年もあり、少なくとも建築の運用期間は60年あります。

しかし、メンテナンスができない、将来における社会の動きに適応した変更ができない、寿命が来て壊した廃棄物をどうするのかも追求しきれていない。

これらの事象は、技術者がつくった先のことを追求できていないことを示しています。

建築に限らず「近代の科学技術」は“利便・快美・利潤の市場原理”のみを求め、人工物質による自然破壊、さらには人体破壊を起こし続けており、その極地ともいえるものに原発があります。

核廃棄物の処理の見通しを全く持たず、災害時の対策もない。

「つくりっぱなし」で、つくった先に起こることを考えられていない、“現実”を対象としていない技術なのです。

技術者はそのことを深く反省しなければなりません

建築の設計に携わる者は自然への畏敬視、人への同一視を持って「未来を予測する」ことが不可欠です。

そのためには、人々の意識構造や生命・自然の摂理を歴史に遡った深い次元からの認識が必要になります。

類設計室が実現塾における事実追求を通じて、過去から未来を読み解く理由はそこにあります。

我々の設計における志は、『施設づくりは経営から考える、人々の活力ある活動から考える、未来から考える』ことです。

建築を通じて活力ある社会をえがくために、類設計室は昨年度に建築を経営次元から追求する「企画室」、建築の生涯を追求する「営繕室」を立ち上げました。

旧態依然の「つくりっぱなしの技術者」は淘汰されていくことでしょう。

なぜなら、これからの社会が求めているのは「人々の活力ある未来から考えられる技術者」だからです。

この4月から社会に出た皆さん、そして学生である皆さんが未来を考えられる技術者となっていくことを期待しています。

大阪設計室長 麻丘 東出