手描きスケッチによって右脳を開放し、同化から照準力を上げる

2021.9.20

以前紹介された東京事務所の手描きスケッチを磨く場(文字頼み・機械頼みの無能人間から脱却せよ!~手描きスケッチで右脳が働きだす~ | 類グループ 社員ブログ | 類設計室 (rui.ne.jp))と同様の場を大阪事務所でも設けています。

「もっと手描きスケッチを自在に描けるようになりたい!」と集まったのは、若手から中堅の総勢20名!あまりの希望者の多さに自主活動グループとしてグループ分けして計3回のプログラムに取り組んでもらうことになりました。

■現代の学校教育では、手描き(右脳)で検討することを重要視していない

集まった若手や中堅のほとんどが大学で透視図法を学んだことがなく、学んだとしても覚えていないというメンバーが大半でした。

PC全盛の時代において建築系の大学でも、最近はCADやBIMを使ったCGパースが主流。手描きスケッチでデザインを検討するプロセスは重視しておらず、手でイメージを描く技術をそもそも持っていませんでした。その影響か、最近の若手は手で描かないことによって空間や形を捉える能力も弱くなってきているようにも感じています。

手描きスケッチを描けるようになると、瞬時にイメージを確認できるためPCに比べて数倍の速さで確認と検討を繰り返すことができ、イメージや感覚を仲間(物件チーム)ともスピーディーに共有できるようになります。

■右脳を使って何を実現したいのか?を捉えることでスケッチは変わってくる

3回のプログラムは、図面から設計の主旨や意図を読み取り、透視図法or簡略法を使って手描きパースを描くというものですが、グループの中でも設計の主旨や意図の把握能力や、図面から読み取る空間把握能力に大きな差が表れています。

今、第2クールの1回目の課題を終わった所ですが、今回驚かされたのは構造房から参加している女性のTさん。

意匠房からの希望者が多い中、「意匠設計じゃないですが、建築や空間を自在に捉え描けるようになりたいです。」と参加してくれたのですが、今回の課題結果では、意匠房の若手より遙かに建築の主旨や意図を捉え、限られた時間の中で照準をしっかり絞り、構造房ならではの質量のある手描きパースをしっかり描いてくれました

■相手に対する肯定視から素直に真似ていく力

Tさんには【手描き研修】に対する姿勢や課題意識にも大きな差を感じました。

彼女の製作プロセスを見ていて感じるのは、図法説明をしっかり聞き、設計者が実現したいポイントをしっかりと掴み、照準を絞って、学んだ作業手順をそのまま素直に真似てやっているということ。本人も「初めてなので、教えて頂いたことをそのままやっています」と笑顔で言っていたが、物件への同化も含め、相手(対象)に対する肯定視と素直さが的確な作業スピードを生んでいました

また具体的に実践して真似ようとしてくれているので、わからないことも具体的に質問してくれます。それに応じて、こちらも具体的に答えていけるので、Tさんのスピードは益々アップしていく。

■同化から、幹(何を実現したいのか?)を捉える照準力を鍛える

制作時間は2時間としていますが、限られた時間でパースを仕上げるためには、対象への同化力と照準力が問われます。設計者が何を実現したいのか?をしっかり捉えられなければ、些末な部分(枝・葉)を描くことに時間を消費し、限られた時間の中で成果を上げることができません。

Tさんは同化から幹をしっかり捉え、2時間を使って設計者の想いや魅力を描いてくれました。

今回、2時間の制作時間を与えているわけですが、これが1時間だったら、30分だったら、5分だったら、1分だったら、何を描くのか?そういった意識で捉えることが、同化から照準力を上げる道になります。
対象を捉えようとせず、技法に踊らされて、いくら時間をかけて描いたとしても、平板的なヒエラルキーのない絵にしかならず、何も人に伝えることはできないし、共感を得るものにはなりません。

手描きスケッチを描くには、右脳をフル活動させ何を実現したいのか?を本気で考える必要があるのです。

■参加者の声
最後に参加者の感想を紹介します。

『設計チームがどういう空間、外観デザインを実現しようとしたのかを図面からとことん捉える。その同化意識は線の強弱や陰影にも表れてくるのだということが気付き。」(構造房のTさん)

限られた時間の中で何を伝えたいかを考えることが大切。技法以前にどれだけその計画に同化できるか、自分が描いたパースをどう人にどう説明しよう?と考えながら描くことが重要だと感じました。」(意匠房Iさん)

 

【手描き研修】によって手描きスケッチを自在に描けるようになり、思考の枠を広げ、右脳をもっともっと開放していきたいと考えています。