本能が封鎖された子供たち

2021.8.18

子供向けに自然の中での学びについて企画運営している方からのお話。

子供達の本能が封鎖された様子に、強烈な危機感を覚えます。

 

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伝えたいことは「親・大人が管理し続けると、将来生きていけなくなる」のではなく、「今この時点で、生きていけない状態」であること。突破口は単純で、仲間との外遊び。それも、週に1度、年に数回の自然体験などではなく、日常的に仲間空間で生きることが不可欠です。

 

「その可能性」を僅かなりとも感じているからこそ、自然体験系の企画には親からの申し込みが殺到するのですが、過管理・過保護である親の姿勢を変えない限り、子供達の解放は実現しません。「本能が封鎖された子供の生々しい現実」と共に、外遊びの重要性を伝える必要があると考えています。

具体的に、先日開催した、川登り・魚捕り・川遊びでの子供たちの様子をお伝えます。

●自分で危険を判断して動けない
深い場所や流れの速い場所など、危なそう=面白そうなところでは、多くの子供達が、「何とか歩けそう」と判断して、岩に掴まりながら川の中を歩くのか、「ここは自分には無理」と直感的に判断して、浅い場所を選んで進んだり、川から上がって陸地を歩いたりするなど、の対応を半ば瞬間的に決めて動く。
最初は戸惑っている子供でも、だんだんと自分が歩きやすい水深、流れの緩いところを選んで歩いていくもの。一緒に川を歩いている大人からも、厳しい場所があれば「君はこっちを通って」と声をかけて誘導する。

 

しかし、水深が深くなっている、流れが速くなっている場所で、なぜか川の真ん中に寄っていき、そこで立ち尽くして、“助けて、何とかして”を連発する子供がいる。
「川の端に寄って歩け、岩を掴んで歩け」と声をかけるが動こうともしないので、浅い所まで手を貸して進むのだが、手を貸してくれる大人の身体にしがみつく。
しばらく進んでも、同じことが繰り返されるので、自分の足で歩くことが出来る他のメンバーとの差がどんどん開いていき、取り残されていく。

 

●手足を動かすことが出来ない
川の流れに逆らって上流に向かって歩いていくので、岩場に手足をかけて上に登る場所があるのだが、岩に掴まったままで自分の足を動かさない。

そのままでは流れに負けて体力を消耗していくだけなので、こちらも体を支えながら、「まず岩に足をかけろ、自分の足で踏ん張れ」と励ましつつ、最後は足を掴んで上げようとするのだが、一歩が出ない。出そうとしない。手と足と(身体全体)を協働させて動かしたことがないのか?おそらくまともに外遊びしたことがないのだろう。

 

●楽しむことが出来ない
このような子供達の特徴として、川に入っているときに、ずっと嫌そうな顔をしている。岩を掴むのを物凄く嫌がる、何かが手に付いたらすぐに洗いたがる、網で魚を捕まえようとして、1回ごとに“全然つかまらない”と大声を上げて何もしなくなる。
おそらく、水が冷たい、思い通りにならない、手が汚れるなどの外部からの刺激を不快としか感じられず、身体を動かして楽しむ、充足することが出来ないのだろう。

加えて、“こんな所に来なきゃ良かった、早く帰りたい”と発する。さすがに、それに対して周りの子供から、“そんな事言うな”と突っ込みが入るが、響いた様子がない。
同様に、周りからの「こうしたらいい」という単純なアドバイスを拒絶してしまう。言葉の意味が通じないとすら感じるほどだ。

 

●自分でやってみようとしない
危険な場所を避けるとか、自分の力で歩けそうな場所を選んで歩くといった、危機逃避の本能すらも封鎖されているということは、一事が万事で、陸の上での日常的な行動においても、「周りにやってもらおうとする姿勢」は同じ。
川に入るとき、全員がウエットスーツを着るが、自分で足を通すことが出来ないので、「座って両手を使うように」と伝えるが、突っ立ったままで“出来ない”と泣く。

 

午前中の活動が終わって川から上がったあとは、午後からも川に入るので、「脱ぎ着が大変だから上だけ脱ぐように」と伝えているのだが、“気持ち悪いから着替えたい”と言う。そのくせ、脱ぐときには“脱げない”、着るときに“着れない”と立ち尽くす。

 

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もちろん、自然の中に限らず、普段の生活の中でも、子供が年長者や大人の手を借りることがいけないということではありません。むしろ、自分の頭で判断し、自分の力で行動する(しようとする)限りにおいては大いに頼ってほしいところ。
しかし、このままでは「いつか自分で出来るように」は決してならないし、ずっと周りの活力を下げ続ける存在になってしまう。

 

今回お話を聞かせてくださった方も仰っていましたが、「突破口は単純で、仲間との外遊び。それも、週に1度、年に数回の自然体験などではなく、日常的に仲間空間で生きること」。
ぜひ、この夏は、子供たちを仲間世界へと思いっ切り解放してあげましょう!

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