構造認識で建築需要を読む!ー2

2021.5.17

前回の投稿では、建築市場を分析する問題意識を提示しました。市場分析にしろ何にしろ、追求は勝つ見通しをつかみ、実践するためにあります。

 

では、さっそくデータを見ていきましょう。

◆着工床面積は50年前の水準

 

【着工・ストックグラフ】

まずは着工床のデータから。

コロナ禍前の2019年、建築着工床面積は1.28億㎡でした。バブル期のピークが2.83億㎡ですから30年間で半減しました。中でも非住宅は1.49億㎡から0.54億㎡でおよそ3分の1です。市場縮小が顕在化した30年といえます。

現在の着工床は1967年頃(1.38億㎡)と同等。人口一人当たりは約1㎡です。これは1964年頃(1.06㎡/人)と同じ。つまり、いま着工床は50年前と同じ水準まで低下しているのです。

 

着工床は今後どこまで下落するのか。(それはゼロにはならないので、どこかで下げ止まります。)

ひとつの視点は、衣食住の確保に最低限必要な生産量、これに連動する「人口当たりの建築床ストック」ということになります。なかでも、住宅は空き家が年々増加しており、明らかに過剰となっているので、焦点は非住宅です。

 

 

◆ストック床面積は15%下落する

建築ストックは近年になってはじめて調査され、長期推移データがありません。そこで、国土交通省の近年データ×着工床累積×残存率により推計します。建築全体でのストック床は84億㎡、人口当たり101㎡/人。非住宅は21㎡/人となり、そこに至る長期経緯を再現しました。

そこから、基礎需要を想定します。感覚的には、バブル経済以降は過剰感があります。現に、30年間にわたって着工床は下落し続け、人口当たりの水準も2000年をピークに下がり続けています。そうなると照準はバブル経済以前、ということになります。

【物の豊かさ・心の豊かさ】

1970年頃、高度成長が終わり、市場拡大は国の借金頼みになります(「借金による水脹れを除けば、一貫して縮小している市場」参照)。豊かさが実現され、貧困に伴う物的欠乏が衰弱したからです。

その後、オイルショックを経て、非住宅の建築投資は安定します。ちょうどこの頃、「物の豊かさ」を重視する人が「心の豊かさ」を下回りました。その後も下がり続け、1985年頃に現状と同じ3割程度まで下落します。

この1985年を人々の物的豊かさの基礎的な水準とし、その当時の人口当たりのストック床18㎡/人を非住宅の基礎需要(下限値)としました。これは現在の水準21㎡/人からすると、まだ15%下落する余地があることになります。

 

では実際、着工床はさらに15%下落するのでしょうか?

この続きは次週をお楽しみに!

ぜひ、それまでみなさんも考えてみてください。グラフを読み解いていくと、その答えも見えてくると思います。